有限会社B A C H 代表取締役 ブックディレクター
幅 允孝
はば よしたか
慶應大学法学部卒業後、2005年に(有)BACH を設立。人と本の距離を縮めるため、公共図書館を中心に病院や学校、ホテル、企業ライブラリーのキュレーションを手掛ける。NHK テレビ『理想的本箱 君だけのブックガイド』では選書家として出演。京都「鈍考/喫茶 芳」主宰。
若い方が「先人から学ぶ」と聞くと、緊張感が出てしまうかも知れません。が、人間は何度も失敗や間違いを繰り返してしまう業に縛られた生き物と考えると、歴史を知る意味合いが少し変わってくるのでは? 時代が大きくうねる今、自身と世界の今昔を結ぶ本を選んでみました。
中学生から知りたい パレスチナのこと
岡真理/小山哲/藤原辰史
ミシマ社
1,980円(税込)
なぜ日本の教育では日本史と世界史が分かれているのか?ガザのニュースを聞いても、どうしても当事者意識が湧かないという方に手に取ってほしい一冊。このジェノサイドは2国間の問題ではなく、近代ヨーロッパ500年の矛盾の凝縮だと理解し、グローバルヒストリーに目覚めるためのきっかけを掴みましょう。
歴史とは何か 新版
E.H.カー
近藤和彦 訳
岩波書店
2,640円(税込)
歴史とは「現在と過去の終わりのない対話」という本書でのカーの言葉は有名です。近藤和彦による新訳は、単に歴史学者の古典という範疇を超え、20世紀の英国を代表する知識人が捉えた世界史における主体性と客観性、そしてエビデンスの質を問い直す一冊。そして、未来に通ずる希望の書と言えます。
あいたくて ききたくて 旅にでる
小野和子
PUMPQUAKES
2,970円(税込)
東北で50年もの間、一軒一軒の家を訪ねながら民話を聞き、収集してきた「民話採訪者」の生き様に触れることができる。他の2 タイトルが大きな歴史の流れに触れる本だとしたら、いつか消えてしまう生活者の小さな声に耳を傾ける機会をつくり、それを継いでいく意味と覚悟を伝える魂の記録です。