慶應大学法学部卒業後、2005年に(有)BACHを設立。人と本の距離を縮めるため、公共図書館を中心に病院や学校、ホテル、企業ライブラリーのキュレーションを手掛けている。京都「鈍考/喫茶 芳」主宰。
基本的に大人なんか信用できないし、政治腐敗も経済の停滞も気候変動も、問題を先延ばしにして私たちに押し付けて! と文句を言いたい、そこの君。そんな君も歳を重ねて、大人になっていきます。だから、自分が嫌いだった大人にならないための本を。
大人問題
五味太郎
講談社文庫
660 円(税込)
今年、絵本作家生活50 周年を迎えた著者が、「大人の有害さ」を書き記した短文集。1996 年出版のロングセラーということは、子どもの世界を統べる大人の問題は、ずっと続いているのですね。個々の大人が「わたし」自身をどう生きているのかを問う1 冊とも言えます。
遊びと人間
ロジェ・カイヨワ
多田道太郎/塚崎幹夫 訳
講談社学術文庫
1,496 円(税込)
大人になったら遊べないと勘違いしている方は必読です。この本でフランスの批評家が示したように、遊びの根源的要素「(競争、運に身をまかせること、模擬あるいは表現、眩暈と失神)」は文明を紐解く重要な鍵となるのです。遊び心とは、人間の根幹なのです。
悪について
エーリッヒ・フロム
渡会圭子 訳
ちくま学芸文庫
1,100 円(税込)
ニュースで凄惨な事件を、繰り返す腐敗を、止まらない戦争を知るたび、大人って馬鹿だなと思いませんか? 本書は、自由を放棄し、生命を軽んじて悪に身を委ねてしまう人間の本性とその原理を追求し、「人間らしく生きる」本当の意味を問いかける1 冊です。