有限会社B A C H 代表取締役 ブックディレクター
幅 允孝
はば よしたか
慶應大学法学部卒業後、2005年に(有)BACH を設立。人と本の距離を縮めるため、公共図書館を中心に病院や学校、ホテル、企業ライブラリーのキュレーションを手掛ける。神奈川県教育委員会顧問として、神奈川県立図書館の再整備を継続中。京都「鈍考/喫茶 芳」主宰。
message 地に足ついた気がしない、しんどい時代にこそ対話なのだと思います。自身とは違う誰かと話す。そして、主義主張の異なる他者同士でも共有できることを探すために、言葉の運用を見つめ直すことも大事なのだと思います。
ほんのおとも
最初は嫌だったリーディンググラス。今ではいい相棒です。
ガラスと雪のように言葉が溶ける 在日韓国人三世とルーマニア人の往復書簡
尹雄大/イリナ・グリゴレ
大和書房
1,760円(税込)
「排他主義」が蔓延する時代に、自らの子と異国の言葉で話すルーマニア出身の人類学者と、自国の言葉を話せない在日3世のライターが、日本語で交わす手紙のやりとり。彼らが真摯に記した言葉には、人種や国籍、性別や所得など人と人を隔てるあらゆる壁を透過していく何かがあります。
建築と利他
堀部安嗣/中島岳志
ミシマ社
1,980円(税込)
建築家と政治学者の対話集。利他とは、相手の思いや行為にうまく沿うことで、潜在的な力を引き出すこと。だとすると、自然や周辺環境、歴史や記憶に「沿う」建築とはどんな形か? 分野の違う2人が織りなす結節点は、目の前の景色を一 変させ、世界の循環を意識させてくれます。
〈公正(フェアネス)〉 を乗りこなす 正義の反対は別の正義か
朱喜哲
太郎次郎社エディタス
2,420円(税込)
自身にとって正しいことを言おうと思っているのに、その言葉は時に上滑ったり攻撃的になったり、恥ずかしかったりします。「言語哲学」の分野から「正しい」言葉を使う難しさをひもとき、バランスを取り続ける術を伝えようと本書は、異なる人間同士が社会を営む礎を考えさせます。