人と本の距離を縮めるため、公共図書館や病院、学校、ホテル、オフィスなど様々な場所でライブラリーの制作をしている。
本を読むには、ちょっとした筋力も必要です(特に長いテキストに向かう場合は)。昔あった読書筋も読まない時間が長くなると、少しずつ衰えてしまうもの。近年は、斜め読みや部分的な抽出読みに費やす時間ばかりが増え、一冊とじっくり対峙するのが難しくなっています。が、こんな時代だからこそ1人の書き手が必死で絞り出した言霊にゆっくり向かい合ってみてはいかがでしょうか?

本の景色
潮田登久子
ウシマオダ
8800円(税込)※版元品切
本は著者以外の誰かの手に取られ読まれて、初めて本たり得ます。この写真集は、潮田登久子さんが20年以上撮り続けてきた図書館の書物や個人蔵書をあくまでもオブジェとして見極めようとした写真です。ところが、そこには確かに読み継いできた人の痕跡と時間が確かに見えるから震えてしまうのです。

デジタルで読む脳×紙の本で読む脳
メアリアン・ウルフ 大田直子 訳
発行 インターシフト 発売 合同出版
2420円(税込)
若い方でもモニターやEペーパーと紙で読むのでは、何か感触が違うと気づいているようです。この本は両メディアが脳に対してどのように働きかけているのかを科学的に検証しながら、どちらが良い/悪いではなく、「深い読み」に導くバイリテラシーの方法を伝えてくれます。

本を読めなくなった人のための読書論
若松英輔
亜紀書房
1320円(税込)
時間の奪い合いがこれだけ激しいと、没入にときを要する本に集中することは難しくなっています。若松英輔さんは、自身も含めてその現実を直視した上で、読めない時には無理をする必要がないと説きます。そして一方で、「ひとり」で本と向き合うことで訪れる書き手との精神の受け渡しについて教えてくれます。