
作家
【 阿刀田高 】
あとうだ たかし
1935年、東京生まれ。早稲田大学文学部仏文科卒。国立国会図書館勤務の後、文筆業へ。79年に日本推理作家協会賞、直木賞を、95年に吉川英治文学賞を受ける。国語教育への示唆などで文化功労者表彰。日本ペンクラブ15代会長。著書多数。
若い日に愛読して忘れていた本を久しぶりに読むと、部屋の光、夕餉の匂い、母の声、窓外の景色、往時の状況と、自分自身が如実に蘇って生きる。すごく楽しい。読書のユニークな喜びだ。読書は一生の楽しみなのだ。

父と暮せば
井上ひさし
新潮文庫
473円(税込)
原子爆弾の被害を忘れてはなるまい。これは敗戦後の広島を舞台にしてユーモラスに描かれた戯曲だが、戯曲から芝居を想像するのも楽しい。

若き数学者のアメリカ
藤原正彦
新潮文庫
693円(税込)
著名な評論家の若い日の体験記。目を海外へ向け、日本人の立ち位置を考えるのによい。少し古いが、志は十分に若い。

近代秀歌
永田和宏
岩波新書
990円(税込)
歌舞伎、サッカー、猫などなんでもよいから、好きなものを扱った一冊を選び(私はこれを選んだ)、著者と対話しながら読み進む。著者がなぜこれを選び、どこで苦労し、どんな結論を得たか、親しく語り合って読もう。