紫雲山頂法寺の副住職。いのちをいかすという精神に基づき、音楽やテクノロジーなど他分野とのコラボレーションにも取り組んでいる。2025年日本国際博覧会協会理事・シニアアドバイザーを務める。
本を読むことでいくつもの人生を知り生きることができます。そしてそれは夢物語ではなく現実にもなりうるのです。すくなくともヒントにはなるはずです。自分の中にある可能性を見つけてください。

将棋の子
大崎善生
講談社文庫
770円(税込)
夢、それを懸命に追ったからこそ生まれる挫折・絶望。”これまで“を失ったとき人は、どう生きていくのか。競争の激しい人生100年時代だからこそ示唆を与える一冊となる。ひたすらに支え続ける母の思いと応えようとする子の姿は愛そのもの。

くらやみの速さはどれくらい
エリザベス・ムーン 小尾芙佐 訳
早川書房
1320円(税込)
自閉症の主人公ルウの日常と思いが彼の言葉によって丁寧に瑞々しく綴られ、いつしか心寄せている自分に気づく。《その人をその人たらしめているものーアイデンティティー》《ノーマルとは…》《共生社会とは…》美しいタイトルの持つ意味は深い。

次郎物語 全5巻
下村湖人
岩波文庫
各704〜1045円(税込)
次郎の成長が情景と心のありさまとともに丁寧に描かれ清々しい。祖父・子・孫と、三代にわたって読んだ思い出の一冊。本は、その時代の文脈の中で生まれ、それぞれの解釈によって、ずっと生きることを実感する。