諸田玲子

小説家

【 諸田玲子 】

もろた れいこ

静岡市生まれ。1996年に『眩惑』でデビュー。『其の一日』で吉川英治文学新人賞、『奸婦にあらず』で新田次郎賞を受賞の他、歴史・時代小説多数。近刊に『麻阿と豪』と『ひと夜の恋』。

MESSAGE 戦国の世も今も、人は皆泣き笑い悩みながら必死に生きている。良いことだけの人も悪いことだけの人もいないから、辛いときは籠城して風向きが変わるのを待ちましょう。麻阿と豪のように…。

やさしい猫

やさしい猫

中島京子 
中央公論新社  
2090円(税込)

在日スリランカ人と暮らすシングルマザーと、その娘の私。主たるテーマは入管法の是非だけれど、そこはストーリーテラーの著者。優しい言葉でするすると読めて、深い感動を味わえる。平凡な幸せを壊すものはなに? 世の中、どこかおかしいね。若者たちよ、社会の歪みから目をそらさないで。

やさしい猫

蝉しぐれ

藤沢周平 
文春文庫 
上・下各748円(税込)

蝉しぐれが降りしきる中、若侍の牧文四郎は悲劇のどん底に突き落とされる。実らぬ恋と変わらぬ友情、さらにはお家騒動の謎がからんで手に汗握る展開が待っている。東北の架空の小藩の豊かな自然に心癒されながら、文四郎と共に青春の熱く切ない日々を堪能してほしい。

悲しみよこんにちは

悲しみよこんにちは

フランソワーズ・サガン
河野万里子 訳 
新潮文庫 572円(税込)

17歳のセシールの、コートダジュールの別荘でのひと夏の出来事。サガンが18歳のときに書いたことで一世を風靡した小説だけれど、若さゆえのヒリヒリするような痛みや微妙に揺れ動く心、その繊細さと残酷さはいつの時代も色褪せないものだと思う。軽やかなようで、若さとは重いものかも。

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