
脚本家
【 内館牧子 】
うちだて まきこ
武蔵野美術大学卒業後、三菱重工業入社。13年半のOL生活を経て、脚本家デビュー。主な作品に、ドラマ『ひらり』『毛利元就』『小さな神たちの祭り』等。文化庁芸術祭優秀賞など多数受賞。最新作は、小説『老害の人』(講談社)。
自分の若い時を考えても「あれはやってよかった」と思う3 点がある。①映画を見ること(レンタルDVDでもOK)、②日記をつけること(ほんの2、3 行から始めて、スマホに書いてもOK)、③本を読むこと(ジャンルにとらわれず、何でも)。

鎮魂 石川啄木の生と詩想
遊座昭吾
里文出版
2530円(税込)
私は何度か目撃しているが、岩手では「石川啄木派vs宮沢賢治派」が居酒屋で議論している。二人は今も若い人に影響を与えているのだ。本書は懸命に生きてきた啄木の姿勢が心にしみる。啄木は二十代半ばでこの世を去った。もっと本気で生きようと思う私になる。

宮沢賢治の真実―修羅を生きた詩人―
今野勉
新潮文庫
880円(税込)
岩手で人気を二分する賢治については、多くの書籍が出ているが、この一冊を推したい。よくぞここまで調べ、追い、書いたものだと圧倒される。同性に恋い焦がれたり、最愛の妹を亡くしたり、まさしく「修羅」を生き切った賢治は、今の若い人に必ず何かを残す。

にほんの行事と四季のしつらい
広田千悦子
世界文化社
1980円(税込)
小中学校の授業で、英語を必修にするのはいい。だが、日本に伝わってきた行事や、それに伴う数々のしつらい―たとえばしめ縄、十五夜のお供え、柚子湯などの意味と美しさを伝える必要は絶対にある。この本はオールカラーで日本人の繊細さに心打たれる。