2 0 0 5 年、『脳と仮想』(新潮社)で第4 回小林秀雄賞を受賞。2 0 0 9 年、『今、ここからすべての場所へ』(筑摩書房)で第12回桑原武夫学芸賞を受賞。
人生においては、それまで読んだ本を積み上げた高さから世界を見ることができるのです。できるだけ広いジャンルの、多くの本を読みましょう。乱読でいいのです。目についたものからページを開くのでいいのです。読書はテレパシーであり、タイムマシンです。その奇跡を今すぐ手の中に。デジタルの時代だからこそ本は大切です。

硝子戸の中
夏目漱石
新潮文庫
374円(税込)
漱石はとても賢い人でしたが、同時に心が温かい人でした。世界の大きな動きに目を向けつつ、自分の周辺のできごとや人々に心を砕く、その姿勢から「人生」への大きな視座を受け止めることができます。困難な時代を生きる、私たちにとっての先生です。

ぼくの映画人生
大林宣彦
実業之日本社文庫
1045円(税込)
数々の傑作を残した映画監督の、幼少期の経験がすごいです。鮮烈にして純粋。人生の道を切り開くための安全基地が、今まで流れてきた時間にあるということに気づかせてくれます。皆さんも大林ワールドに触れて、自分の人生を振り返ってみましょう。

窓ぎわのトットちゃん
黒柳徹子 いわさきちひろ 絵
講談社文庫
880円(税込)
ベストセラーになるだけの理由がある素晴らしい本です。個性をつぶしてしまう教育と人間を伸ばす教育のその違いは何か。決して理想の学びのかたちがあるとは言えない日本の現状の中、自分の受けた教育を相対化し、解放される効果がある傑作です。