
指揮者
【 大野和士 】
おおの かずし
東京都生まれ。新国立劇場オペラ部門芸術監督。東京都交響楽団音楽監督。カタルーニャ国立バルセロナ交響楽団音楽監督。東京フィルハーモニー交響楽団桂冠指揮者。
成人の日を迎えられる皆さんへ。これから、様々な新しいことに出会い、友人をはじめ人との輪も大きく広がっていくことでしょう。それは同時に、ご自分の中にそれを受け止める感受性がすくすくと育っていくことを意味します。今回3冊の本を紹介しましたが、心の中に新しい部屋を作ってくれると思います。人生で何かあった時に、進むべき答えを見つけられることでしょう。

楽器たちの図書館
キム・ジュンヒョク
波田野節子、吉原育子 訳
クオン 2420円(税込)
ある若いピアニストが、老齢のピアニストの演奏を電話を通して聴くうちに魅入られたり、楽器店に勤める若者が評判の楽器博物館を作ったり。一編一編、不思議な展開を見せるが、そこはかとない悲しみの隙間を見出す。現代韓国の若者の感性を映し出す秀作。

いちばんやさしい美術鑑賞
青い日記帳
ちくま新書
1012円(税込)
第一部”西洋美術を観る“も内容が充実しているが、第二部”日本美術を観る“には、眩しく輝く世界を拓かれる思い。狩野永徳の国宝「檜図屏風」が修復される過程はユーチューブで見られるので必見、と書いてあり、いっとき本から離れて飛びつくように画面に見入った。

完訳ペロー童話集
ペロー 新倉朗子 訳
岩波文庫
858円(税込)
一冊、この本を手元に置いて、一編ずつでも楽しんで下さい。一部の”韻文“の部分も読みやすく、優しい気持ちがいっぱい詰められているし、二部には「青ひげ」や「眠りの森の美女」など、オペラやバレエの原作としても知られている作品も多く、宝石箱と言っても良いでしょう。