小説家
諸田玲子
もろた れいこ
静岡市生まれ。1996年に『眩惑』でデビュー。『其の一日』で吉川英治文学新人賞、『奸婦にあらず』で新田次郎文学賞を受賞の他、歴史・時代小説多数。近刊に『お順 勝海舟の妹と五人の男』『ちよぼ 加賀百万石を照らす月』『しのぶ恋 浮世七景』。
SNS もTV もなかった時代を想像して下さい。いつの世も人の本質は変わらない、生き物としてサバイバルしてゆかなければならないのです。小さな世界に閉じこもらないで、書物で未知への扉を開いてもらえれば。
ザリガニの鳴くところ
ディーリア・オーエンズ
友廣純 訳
ハヤカワ文庫NV
1,430円(税込)
自然描写が素晴らしい。少女がたった独り、未開の沼地でたくましく生き抜くさまに感動する。殺人事件の謎解きや裁判の行方も目が離せないが、家族、恋、差別、偏見……なにより人間が大自然の一部であること、善と悪とはなにかを考えさせてくれる。
紀ノ川
有吉佐和子
新潮文庫
737円(税込)
和歌山県紀ノ川のほとりに暮らす素封家の祖母、母、娘。明治から昭和へ、激動の時代を生きた三代の女たちの姿を描く大河小説。日本人は、私たちの祖母や曾祖母、その母たちは地道に、けれどしたたかに生を紡いできたことにあらためて目を向けてほしい。
遠い声/浜辺のパラソル
川本三郎
ベルリブロ
2,640円(税込)
大仰なことは何もない。ふらりと気ままに街を歩き、時に失われた風景をたどる掌編集。感動を押しつけることなく、それでいて珠玉の言葉が生み出す、さりげないやさしさが胸に迫る。これぞ“大人の文学”──作家を志す若者、目まぐるしい毎日に疲れた貴方にぜひ。