発酵学者・文筆家

小泉武夫

こいずみ たけお

小泉武夫

1943年福島県の酒造家に生まれる。専門は発酵学、醸造学、食文化論。農学博士。現在、東京農業大学名誉教授、鹿児島大学客員教授、福島大学客員教授などを務める。著書多数。

MESSAGE 私はいつも若い人たちに「心は開くためにある。閉じてはならない」と言っています。閉じてしまったら、せっかくの一日、せっかくの若さ、せっかくの人生もったいない。本から心を開く力を得てほしい。本はすごい力を持っているのです。

柳橋物語・ むかしも今も

柳橋物語・ むかしも今も

山本周五郎
新潮文庫
693円(税込)

下町の人情ものに賭けた周五郎の作家的意欲がにじみ出ている高著。中でも『むかしも今も』は二人の青年が一人の女性をめぐった末に敗れた直吉という人間の、清次に対する侮辱と憎悪と嫉妬、そして周りからの蔑みに耐えて生きる姿が熱く心に滲みる。人間の愚直と高貴の物語である。

柳橋物語・ むかしも今も

魯山人味道

北大路魯山人
平野雅章 編
中公文庫
817円(税込)

食聖にして芸術家であった魯山人の、食およびその周辺を心理的、哲学的視点からとらえた高著である。「料理は芸術である」として、料理を単なる食べ物として考えるのではなく、美的感覚で鑑賞することも今の若い人たちには必要であろうと思い、それを会得するためにこの高著を私は薦めたのである。

北方の原形    ロシアについて

北方の原形  ロシアについて

司馬遼太郎
文春文庫
726円(税込)

長年にわたりロシアに対して深い関心を持ち続けた著者が、主に日露関係史の中から鮮やかなロシア像を抽出し、この国との将来の道を模索している。ロシアは今、ウクライナと戦争状態にあり、この国の民族が辿ってきた国民性はいったい何なのかを、今こそ知っておくための高著である。

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