建築家・都市計画家

團紀彦

だん のりひこ

團紀彦

1956年神奈川県生まれ。東京大学工学部建築学科卒。代表作に日月潭風景管理処(2010年)、コレド室町(10年)、台湾桃園国際空港第一ターミナル(10年)

MESSAGE 本はそれ自体が建築であり、一ページ目を開いた時から中身の空間が伝わってくる。以前「書築展」と云う日中韓の展覧会を行ったことがある。建築家と本のデザイナーのコラボレーションによって、それぞれの国の本の文化と建築の空間が交錯して刺激的だった。

月の裏側 日本文化への視角

月の裏側 日本文化への視角

クロード・レヴィ= ストロース
川田順造 訳
中央公論新社
2,200 円(税込)

フランス人の人類学者レヴィ=ストロースは幼少の頃から浮世絵などの日本文化に親しんできた。そんな筆者が日本文化を独自の視点から「類稀な文化」として称賛する。文化人類学の巨頭がなぜ日本文化にこれほどまでに惹かれたのか。そのこと自体が文化人類学的に興味深い。

月の裏側 日本文化への視角

史記列伝(四)

司馬遷
小川環樹/今鷹真/福島吉彦 訳   
岩波文庫
858 円(税込)

司馬遷は史記の中で特筆すべき人物を年代ごとに紐解いていく。そして彼が生きた漢代に差し掛かった時に李陵を擁護したため武帝により宮刑に処せられてしまう。四巻は李陵の祖父の李広の悲劇から始まる。李広について「桃李物言わざれど下自ずから蹊を成す」と客観性を貫いた裏に賛意を込めた歴史家の姿勢が胸を打つ。

佐藤春夫台湾小説集 女誡扇綺譚

佐藤春夫台湾小説集 女誡扇綺譚

佐藤春夫 
中公文庫 
1,100 円(税込)

1920 年佐藤春夫は日本の統治下にあった台湾を旅して、いくつかの短編の着想を得た。『女誡扇綺譚』はその中の台南の名家の没落を短編の怪奇小説にまとめたものだ。短編集の中には工事中の日月潭のことなども織り込まれており、発展を遂げた台湾の現代と歴史が甦る。

CLOSE