建築家・都市計画家
團 紀彦
だん のりひこ
1956年神奈川県生まれ。東京大学工学部建築学科卒。代表作に日月潭風景管理処(2010年)、コレド室町(2010年)、台北桃園国際空港第一ターミナル(2010年)
message 建築がさまざまな敷地の中に建てられて空間が生まれるように、文章もまた、本という名の環境の中で生かされるものだ。最近はパソコンの中で文字を追うことが多くなったが、心の中に染み込むような特別な本は、紙に刻まれたものだと思う。
リベラリズムという妄想
ジョン・J. ミアシャイマー
伊藤貫 解説
新田享子 翻訳
経営科学出版
3,630円(税込)
現代の国際政治は地域の差こそあれ、右派ナショナリズムと左派リベラリズム=グローバリズムに分かれて激しい対立抗争が繰り広げられている。著者は冷徹なリアリズムの立場からリベラリズムの妄想を厳しく批判し、この左派エリート層の盲信が世界の外交政策を誤った方向に導いたことを指摘する。
図説 天正遣欧使節
髙祖敏明/伊藤玄二郎/山口道孝/平田豊弘/坪根伸也 他
髙祖敏明 監修
かまくら春秋社
38,500円(税込)
1590年キリシタン大名により派遣された4人の少年は、長崎を出港しゴアを経てリスボンに到着してからローマに至り、ローマ教皇グレゴリウス13世に謁見する。本書は『潜伏キリシタン図譜』の続編として一行の苦難に満ちた航海とその後の足取りをたどる。ポルトガル、エヴォラ大聖堂のオルガンの修復にも尽力した編者伊藤玄二郎氏の静かな情熱が伝わってくる。
台湾漫遊鉄道のふたり
楊双子
三浦裕子 訳
中央公論新社
2,530円(税込)
日本統治時代の台湾へ講演に招かれた作家青山千鶴子は通訳の王千鶴と鉄道に乗り、道すがら台湾の食文化について語り合う。時には意気投合し、時にはすれ違う二人の心の機微が台湾を代表する現代作家の筆致により見事に描かれている。リン・キンによる英訳も素晴らしく全米図書賞を受賞している。