ジャーナリスト
国谷裕子
くにや ひろこ
2016年まで23年間、NHK『クローズアップ現代』のキャスターを担当。現在は、SDGs(持続可能な開発目標)の取材・啓発を中心に活動。東京藝術大学理事。02年菊池寛賞、11年日本記者クラブ賞など受賞。
実際には出会うことができない素晴らしい人々や歴史的事実、そして見知らぬ世界に連れていってくれる物語の数々。本に出会うことでしか体験できない豊かな時間は、いつまでも心の記憶として人生を彩ってくれます。
聞き書 緒方貞子回顧録
野林健/納家政嗣 編
岩波現代文庫
1,694 円(税込)
日本人として初めて国連難民高等弁務官に63 歳で就任した緒方貞子さん。難民問題に新たな道を切り開くなど、国際社会で高く評価された行動が具体的エピソードで伝わってきます。世界を動かした情熱はどのように生まれたのか、緒方さんの人生をたどってほしい。
苦海浄土 わが水俣病 (新装版)
石牟礼道子
講談社文庫
836 円(税込)
『苦海浄土』は石牟礼さんが40 年近い歳月を費やした三部作。この文庫は、その第一部です。高度経済成長がもたらした公害、水俣病の実像と患者さんたちの魂に宿る世界。ここには決して忘れてはならない日本現代史の原点が深く刻まれています。
紋切型社会
武田砂鉄
新潮文庫
693 円(税込)
決まりきった言葉で社会を決まりきったように捉えてしまう。「自由であるべき言葉を紋切り型で拘束する害毒」に武田さんは鋭く切り込みます。シンプルで分かりやすさばかりが強調される時代に潜む同調圧力。この本はそれに抗する自立した思考を育んでくれます。