コラムニスト
中村孝則
なかむら たかのり

神奈川県葉山町生まれ。食や旅、嗜好品などをテーマに寄稿。著書に『名店レシピの巡礼修業』、共著に『ザ・シガーライフ』など。「世界のベストレストラン50」の日本評議委員長、ベスト・オブ・コロンビア大使、剣道教士七段、大日本茶道学会茶道教授。
この時代に船出して、時代の波に翻弄されるのか、波を掴んで乗りこなすのか。あるいは時代の波をつくる人間になるのか。いずれにせよ愉しんだ方が人生は豊かになると思う。読書はその羅針盤になるはずだ。

シューマンズ バー ブック
チャールズ・シューマン
福西英三 監訳/松本みどり 訳
河出書房新社
3,300円(税込)
1991 年の初版以降、世界中のバーテンダーのバイブルになったベストセラー。約500 のカクテル・レシピだけでなく、バーに必要な設備からもてなしの作法、酒精飲料の歴史や商品学に至る、酒にまつわる森羅万象を網羅。プロはもちろん、初心者や飲めない読者も文化としての酒の嗜みが学べる本。

辺境・近境
村上春樹
新潮文庫
649円(税込)
「辺境」あるいは「秘境」という言葉が陳腐化するこの時代、いわゆる旅行記や冒険譚のありようだけでなく、日本人の旅離れも問われている。そのような時代だからこそ、旅の本質を自身の内面に見つめ直す意識変化の好機ではないかと、旅行記を通じて説く。旅の愉しみ方のレシピが詰まった一冊。あとがきも秀逸。

老子の講義 新装版
諸橋轍次
大修館書店
1,870円(税込)
紀元前の中国の思想書ながら、いま私たちが直面しているジレンマや、生きづらさを予言しているかのごとく、根底からひっくり返す言葉に溢れている。通読をお勧めするのはもちろんだが、座右に置いて行き詰まった時にふと開くと、意識覚醒する快感に目覚めるはず。