1955年東京都生まれ。国内海外を、年間600食ほど食べ歩き、食情報を発信。『味の手帖』『食楽』他、連載多数。「日本橋街大學」講師、「日本鍋奉行協会」顧問。最新刊は『超一流のサッポロ一番の作り方』(ぴあ)。
私たち人間の歴史や文化、意識や行動に関しては、まだまだ明かされていない事実がある。知れば知るほど謎が深まる。その興味、関心へ向けての知的好奇心、絶え間ない知的好奇心の追求こそ、人間が人間たらしめるものではないか。そのことを考えさせられる本である。
反穀物の人類史 国家誕生の ディープヒストリー
ジェームズ・C・スコット
立木勝 訳
みすず書房 4,180 円(税込)
1万2000 年前に農耕が始まり、人は文明や文化を生み出し国家ができ、貧困の差や政治や戦争も生まれてきたと教わった。しかし農耕が始まってから国家が形成されるまで4000 年もかかっていたのだ。人々は何をどう食べ、農耕はどう進み、それが国家形成にどのような影響を与えたのか。誰も語らなかった史実に迫る。
内臓とこころ
三木成夫
河出文庫
858 円(税込)
「こころ」とは内臓された宇宙のリズムである。人間としての原始本能的な動きをする内臓と心はいつ? どのような連携を始めるのか、排泄、授乳、空腹、笑い、泣きといった原初的な赤ちゃんの行動から、指さしや声出しなど人間的な「こころ」が形成されるまでの過程を解き明かす、解剖学者の名著。
すきやばし次郎 旬を握る
里見真三
文藝春秋
3,080 円(税込)
98 歳になってもまだ矍鑠として握りつづける、稀代のすし職人の思想と哲学、技術に初めて迫った1997 年に出された快著。一つ一つの魚に対する考え、またなぜ鯛は握らないのかなどといった明確な江戸前鮨の答えがここにある。現代に生きる江戸前鮨とは何か。寿司を食べるなら読んでおきたい。