塩狩峠

三浦綾子
新潮文庫
935円（税込）

本当の正義、愛とは何か。読み返すたびに居住まいが正されます。10代で最初に読んだ時から何度読んでも、作中に引用される聖書の言葉「一粒の麦、地に落ちて死なずば、唯一つにて在らん、もし死なば、多くの果を結ぶべし。」とシンクロした終章の展開に、胸塞がる深い感動を覚えます。

水滸伝 一　曙光の章

北方謙三
集英社文庫
935円（税込）

中国時代小説『水滸伝』は、乱世に抗い己の信義を貫く者達アウトロー108人の壮大な物語です。志を共有し人間の尊厳と絆をこまやかに描き出す著者の筆致は、これから事を成そうとする者の心の支えとなるでしょう。私にとっては、人生の友と呼べる一冊です。

ボーダー

佐々涼子
集英社インターナショナル
1,980円（税込）

本書は、入管問題、技能実習制度、難民支援施設を取材し、現在の日本の外国人政策の問題点を訴えています。少子高齢化・多死社会を迎え労働力が不足する日本で、外国人とどうやって共に暮らしていくか。今まさに私たちの姿勢が問われています。

言葉なんていらない？　私と世界のあいだ

古田徹也
創元社
1,760円（税込）

「発話」とは？ 「コミュニケーション」とは？ ふだんは意識もしない問いかけに出合いながら、言葉の役割をじっくりと捉えなおす。乱暴で排外的な言葉も散見される今、SNSに流されずに「しっくりくる言葉」を探索し、「他者」の言葉を待つこと。その土台を作ってくれる一冊。

レヴォリューション No.3

金城一紀
角川文庫
814円（税込）

大学生の頃に読んでパワフルな疾走感に衝撃を受けて以降、大人になった今でも読み返す作品。差別や階級社会といった理不尽に主人公たちなりの努力で風穴を開けていく。小さな冒険譚だけど、世界を変えていく。読むと「うおー！」と雄叫びを上げたくなる青春小説です。